「学校生活」〜(みかこ4回目)
ライフヒストリー
テーマは「学校生活」(みかこ4回目)
定時制に通い始めて「レズビアン」としての自分がどんどん消えて行くような気がした。
保健の教師に「カミングアウト」を半ば強いられたときも 、かえって私はレズビアンでないような気になった。
「学校」をテーマにした、みかこさんのライフヒストリーの最終回です。
●みかこのライフヒストリー「学校」 <前へ 1 2 3 4
同性愛者だと気づき始めたとき、ニューヨークにハーヴェイ・ミルク高校といって「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)のための高校」があることを知った。
ハーヴェイ・ミルク高校は、学校に通う意味を見出せなかった私が、唯一、こころの底から「行きたい」と思った学校だった。
その高校への憧れが、「英語を学びたい」という意欲に拍車をかけた。
その高校に本当に通えるなんて考えていなかった。
けれども、少しでもその高校に近づくためには「言葉の壁」をまず取っ払わなくてはならない。
だから英語を勉強したいと思った。
私が通うことができた高校は、異性愛者向けの定時制高校だった(実際そうなのに、「異性愛者向け」と言っていないところがまたムカツク)。
それが現実。
午後5時に授業が始まる。6時から給食。7時から10時まで授業。
毎日、その繰り返し。
そこでの話題は?
「やった」「やらない」
何を?
セックスを。
「できた」「できない」
何が?
恋人が。
生々しい異性愛者の会話を避ける場所は、そこにはない。
セックスは恋人についての会話の相手や話の種なんて、誰でもよく、レズビアンである私も例外じゃない。
「学校って、勉強しに行くところじゃないのか?」
当時、繰り返し思っていたこの問い。答えられたのは、定時制を辞めた後だった。
「そうだ! 学校は勉強するところなんだ。「異性愛」を勉強するところだ。」
ずっととらわれていた問いに答えて、私はとても納得した。
私が唯一体験した「学校生活」。それは、私が「異性愛者としての生活」を初めて、そして徹底的に体験するための機会にもなった。
初めての学校生活は、いままで「学校へは行かない」選択をしてきた私に、レズビアンとしてプライドを持たせる機会にもなった。
「私は学校に行っていなかったから、今レズビアンとして生きていけているんだ。学校に行かなくて本当に良かった!」と。
(みかこ)