父の難解・誤解〜親へのカムアウトから1年を経て
2007年の12月に両親にレズビアンとしてカミングアウトをした、帝(てい)さんのカミングアウトのプロセスを記したエッセイの第8回目です。
両親へのカミングアウトから1年経った節目として、2008年12月に帝さんが書かれた文書から、
今回は、その後の父親との関係に関するエピソードを紹介します。
●親へのカムアウトから1年を経て〜カミングアウト・プロセス(帝)
<前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 次へ>
昼休みに実家へ寄ると、父が在宅。
そこへ外出中の母からまた
“お知らせ電話“があり、TVをつける。
TVの内容は、途中からだったので確かではないけれど、
「既婚者で子供をもつ男性(として生まれた方)が、性同一性障害として認められ(たぶん)、で、その方が著した本の出版記念サイン会」
らしき映像。
すかさず、父にTVを見るように促し、
同時通訳のように説明する私。
- 父:「?、男だろう?」 (TVを一瞥してまた背を向ける)
- 私:「違うよ。この人は女性として生きているので、この家庭には2人の女性と、2人の子供がいる、という事になるよね。」
- 父:「でも男だろう? 隣りの人は妻だろう?」(あくまで“女装をした男性”だと思う父)
- 私:「だから、この人は既に女性であって(たぶん)〜、」(と上手くない説明を繰り返す私)
- 父:「よく分からん。」(言い捨ててその場を去る父)
耳が遠くなってきた父と、普段あまり大きな声を出さない私。
がんばって会話を試みますが、大声では乱暴な感じになる上に、
つい説明を端折ったり、言葉も不足しがちです。
まだ父が彼女と顔を合わせる前のこと。
近いうち彼女と会ってもらい食事でも、という話を父へ向けると、
- 父:「うーん、どうもそういうの苦手だな。」
- 私:「苦手とはどういう意味で?」
- 父:「男の人と違って、女の人となると、、、そういうの弱いな。」
- 私:「いや、一緒だよ。」 (→私の言葉足らず、女性であろうと、あくまで私のパートナーとしての理解をして
欲しい、と言いたかった)
- 父:「!! そんなに男っぽい人なのか?!」
…。誤解の1丁上がり。
(帝/2008年12月)【続く】