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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

エイズは「ゲイの病気」か?〜新規HIV感染の約7割がゲイセックスでの感染

2010年の新規感染者数と新規AIDS患者報告数

去年、2010年に国内で新たに報告されたHIV感染者とAIDS患者数の速報値が、厚生労働省【エイズ動向委員会】より発表されました。


去年2010年、1年間の新規HIV感染者・エイズ患者の報告数は、新規HIV感染者1,050人(過去3位)新規エイズ患者数は453(過去1位)で、合計1,503 件で、この数字は過去2位の報告数でした。

そして、去年新たにHIV感染がわかった者のうち約7割(約69%、729件)が、ゲイの間での感染(男性同性同士の性行為での感染、異性間は約18%)でした。また、AIDS患者については同性間が48%で、異性間は28%でした。

表にあるように、同性間のゲイセックスでの感染が、感染経路として、もっとも多いことが分かります。
また「その他・不明」にも、健在化しない同性間による感染も含まれると考えられるので、ゲイセックスでのHIV感染は、圧倒的な数にのぼるといえるでしょう。

また近年5、6年の報告数の推移を見てみても、異性間での感染と同性間での感染に大きな差があります。

異性間での感染の増加がほぼ一定なのに対して、同性間でのHIV感染は、増え方が激しいという特徴が見えてきます。
このように数字の上では、HIVエイズの対策において、ゲイの間での対策が、とても急がれているという事は明らかです。

●エイズは特定の誰かの病気か?

かつて(1980年代から90年代初頭頃まで)、エイズが「特定の誰かの病気」と考えられた時代がありました。
具体的には、「同性愛者」、「外国人」、「性風俗産業従事者」など感染リスクが高いとされる集団を「ハイリスクグループ」として、「一般」の人たちから引き離して隔離し、「管理」しなくてはならない、という考え方に基づいて国のエイズ政策が行われた時期がありました。

その時代、HIVに感染した者の多くが、偏見や差別の中、孤独に亡くなっていきました。
もしゲイがHIVに感染しても、自業自得とみなされ、同性愛者向けに予防啓発をしようという動きはほとんど出てきませんでした。

「ハイリスクグループ」という考え方は、リスクグループとされた人々に対する差別や偏見を強化したという結果を生み出しただけなく、エイズを「特定の集団の病気」で、「自分とは関係のない病気」という風潮を生み出すのです。

●エイズはみんなの病気?

実際のところ、HIVウイルスが、その人が誰であるか、を識別して感染するわけではありません。
同性愛者だから、性風俗産業に勤めているから、外国人だから、という風にどの集団に属しているかが感染するリスクなのではなく、その個人が性行為において、どのような行動をとっているかが問題だ、という風に考えることが大切です。
そこで、1990年代も半ばになると、「エイズはみんなの病気」という認識が生まれてきました。

けれども、近年の報告数にも明らかなように、ゲイの間での感染が増えているという報告が毎年続くなど、依然として特定の集団に感染が集中している現実があります。

もしかしたら、その背景に、ゲイや同性愛者たちは、差別や偏見により、同性愛者むけの情報の入手の困難であったり、同性愛者だと知られるとどうなるかわからないというおそれなどから、保健医療サービスへのアクセスができないという困難を抱えているのかもしれません。

やはり、同性愛者たちには、同性愛者たちの背景をふまえた具体的な対策やメッセージが必要とされるのです。

●エイズは、ぼくたちゲイの問題

わたしたちは、HIVの感染の増加を、特定の誰かに責任をなすりつけたり差別するのでなく、自分たち自身にも関係する、みんなの問題だと受け取ることが大切ではないでしょうか?
確かに、「エイズがゲイの病気だ」ということで、「エイズは風俗嬢やホモの病気だから」とo思って一番威張っている異性愛者の男性たちが、自分には関係ない、と思える風潮が生まれるかもしません。
それでも、ゲイの間で現実に感染が増えている現実があるなかで、改めて私たちゲイは、エイズは「私たちゲイの病気だ」と、ということを引き受けていくことが大切なのではないでしょうか?




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