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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

新連載! 「サンフランシスコ ゲイ・コミュニティ形成史」〜はじめに〜

新連載! 「サンフランシスコ ゲイ・コミュニティ形成史」〜はじめに〜

同性愛者の人権がきちんと認められている、世界でも数の少ない都市サンフランシスコ


本QMブログでも、ハーヴェイ・ミルクの伝記映画(『Milk ミルク』)の情報追跡や、メディア・チェック(同姓婚のトピック)、1993年の旅日記などで、何かととりあえずことが多かったですね。


さて、サンフランシスコにおける同性愛者をめぐる環境は一朝ータ(いっちょういっせき)に獲得されたものではありません。50年以上にわたる、権利を求める運動によって初めてもたらされた成果だ、ということは指摘するまでもないことです。それでは、そんなサンフランシスコのレズビアン&ゲイ・コミュニティがどのように作られたのか? サンフランシスコのLGコミュニティが、地理的、経済的、文化的、政治的に歴史のなかでいかに成立したのかを述べた「サンフランシスコ ゲイ・コミュニティ形成史」 という連載を明日から開始します。



記事は、当時のアカーの機関紙『ゲイ・ライツ』の1993年1月号に掲載された同名記事からです(そのためカバーされている歴史は90年代初頭までです)。


記事が書かれた背景として以下のような経緯がありました。


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当時、会は、日本で初めて同性愛者の人権を法廷の場で主張した府中青年の家裁判をおこなっていました。サンフランシスコを含む欧米のLGコミュニティへ複数の視察ツアーを行い、レズビアン・ゲイ運動のリーダーたちはもちろん、さまざまな運動体や行政機関にも面談し、同性愛者の政治進出や人権保障の取り組みについて目の当たりにしたのでした。



1993年、視察の成果のひとつとして、裁判の証人尋問の最後に、サンフランシスコ市教育委員会のトム・アミアーノ委員(現同市の市政執行委員)の実現させることもできました(ちなみに、トム・アミアーノさんは今度の映画『ミルク』にも本人役で登場しているそうです)。




当時すでにサンフランシスコでは、性的指向を理由に社会的な差別を禁止する条例が存在し、まだ同性愛者のカップルに異性愛者の男女と同様の法的な保護が行われているなど、運動の成果がありました。教育の分野においても、サンフランシスコ教育委員会は、同性愛者の青少年が生徒の中に存在しているという認識にたって、学校にカウンセラーを配置したり、同性愛者に対する偏見を解消するためにの授業を行うなどの取り組みを実施していました。


当時、裁判で争っていた東京都の都教育委員会は、施設(府中青年の家)の利用を拒否するにあたって、「同性愛者として利用したから嫌がらせが生じた」という立場をとっていたので、トム・アミアーノ氏の裁判での証言は、その後の裁判一審での勝利につながるものでした。


少し長くなってしまいましたが、以上が『サンフランシスコ ゲイ・コミュニティ形成史』が書かれた背景です。明日からの連載をお楽しみに!(【づづく:「前史」へ】

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keyword:府中青年の家裁判

●サンフランシスコ ゲイ・コミュニティ形成史

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