この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる読みきりフィクション
『この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる読みきりフィクション』(全10篇)連載開始!!
■『この街はおまえなんか待たない』――同性愛者の繁華街のいわゆるダークサイドをちらりと垣間見せる10篇の連作ショートストーリーが、1999年〜2000年のアカーのコミュニティ誌『QM』に連載されたとき、読者からの反応は、それほど好評とはいきませんでした。
■繁華街に行かないなら、それほど興味をひかないでしょうし、繁華街で今でも楽しめる読者には、知りたくもないことでしょう。そして、繁華街の「裏事情」を知っている読者にとっては古傷を疼(うず)かせたからかもしれません。
■しかし、2008年のいまの目から読み直してみると少し違ってみえます。「小説」という、リアリティを薄味にして、かつ味わいやすくするフィルターを通して覗(のぞ)き込む1990年代の架空の共同体「新宿二丁目」。架空のお話だからこそ、そこにいくぶんの「真理」が含まれているようにも思えてくるから、時の流れって不思議なものです。お話を書いていたのは「逆島鉈」(さましま・なたる)さん。
■それでは第1話「八白万の死にざま」をどうぞ。