2050年 男性カップル、人工宮で女児出産
「未来新聞」ってご存知ですか?
「こんな未来になったらいいな〜」
というあくまで希望的観測をベースにした、
未来のある日の仮想新聞紙面のことですね。
毎年恒例の企画なのかチェックできていませんが、
毎日新聞が、1999年の元旦号に、この未来新聞を掲載したことがありました。
その中に
「2050年 男性カップル 人工子宮で女児出産」という項目が??
これはレズビアン/ゲイが社会的認知を受けつつあった証拠なのか??
現在、新しい記事の執筆に苦しんでいる「ウの目」担当のYanagihashiさん。
新作の投稿を心待ちにしつつ、「ウの目」の膨大なBNからご紹介しましょう。
今回は、『QM』1999年2月号掲載分からです。
子供を産むのが「良いホモ」?
小子化社会の影響で、
男性カップルの人工子宮による子供の出産を喜ぶ未来新聞の記事。
生殖と無縁の同性愛に対する非難の残滓を引きずったような記事です。
昨年〔1999年当時〕、ロンドンで行われた
「同性間パートナーシップの法的保護に関する国際会議」でベルギーのレズビアンの報告者が、
「今、結婚の伝統的価値を最も擁護しているのは同性愛者である」
と言っていましたが(もちろん、同性婚を「結婚の伝統を破壊するもの」と主張する保守派に対する皮肉を込めてですが)、
この未来新聞の記事に出てくる「愛するパートナーとの間に、どうしても子供が欲しい、と努力してきた男性同性愛者」も、
なんだか時代錯誤的で、保守的パートナーシップ観を持っているようです
(この記事で、「夫婦」という言葉を使っていないのは、伝統的一夫一婦制の結婚制度になにがしかの変化が生じていることを暗示するためでしょうに)。
あえて、言い過ぎるくらい言ってしまえば、ゲイでもレズビアンでも、子供を産むのが「良いホモ」と言われているようで釈然としない内容です。
ストーン・ウォール事件から50年〔1999年当時〕を経て
それにしても、「50年」です。
人工子宮の開発が遅れたためか、倫理問題が引っかかったのか、
同性愛者の権利保障運動が弱体だったためか、あるいは、それ以外の理由なのか、
同性カップルが自分の子供を持てるようになるまでにはこれほど長い時間が必要なのでしょうか?
1969年のストーン・ウォール事件から約30年で、
欧米では、同性間の婚姻の権利が認められようとしつつあるというのにです。
もっとも、日本において同性愛者が家族を持つ権利に対する要求が表面化していない現状では、
毎日新聞の記事も同性愛者にとって良い記事であるかのように錯覚してしまいそうになるのは仕方ない面もあります。
20世紀最後の年から21世紀に向けて、
もう少し、同性愛者の権利主張が表面化するようにしていき、
毎日新聞の予測よりずっと早く、同性愛者が家族を持つ権利の獲得をしたいものです
(但し、現状の結婚制度にいかがわしさを感じる感覚は残しながら)。(Yanagihashi/1999年1月)