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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

同性愛者はインターネットの夢を見るか?〜2010年からの10年間

2000年代がおわって、新しい10年代がスタートしました。


QM読者TTさんによる投稿『同性愛者はインターネットの夢を見るか?〜2010年からの10年間』をどうぞ。


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イメージ画像:Awards honor top 10 Internet moments of the decade (CNN.com)



同性愛者はインターネットの夢を見るか?
〜2010年からの10年間(TT)


TTさん:

1995年に個人が接続することを解禁されて以来、インターネットは私たちの生活にはなくてはならないものとなりました。
PCの値段もどんどん下がり、いまではただの日用品にすぎません。
同性愛者とインターネットの関係性も時代と共に変化してきました。
2000年には出会い系掲示板で相手を探すことは目新しいものとされていましたが、2009年現在、掲示板などもはや古臭い印象すら与えます。
これからの10年間、私たちとインターネットの関わりがどうなっていくのか、考えてみました。



いまの流れとしては、クローズドなSNS全盛の時代が徐々に終わりを迎え、オープンな「ライフストリーミング」の時代が始まろうとしている感触です。
同性愛者にとっては、プライバシー問題の転換期になるといえば興味深いでしょうか。



これまで、ネット上では個人情報と言うのは固く守られているのが当たり前でした。同性愛者にとっても、ネットというのは匿名のままで個人情報を出さずに素の自分でいられる楽園でした。


ところが昨今では、状況が変化してきています。
リアルタイムに自分がなにをしている、どこにいる、何を買った、何を見ているのか、どんどん情報がネットに流れ出し、オープンにされています。
そして、それが蓄積されていきます。


情報サービスも、そういう蓄積された履歴を元にして、次々と提案(レコメンド)をするようになってきています。何かサイトで買い物すれば、「これを買った人はこれにも興味がありませんか?」と提案されます。


同性愛者として生活していればネットに情報がどんどん出ていくようになるでしょう。

「繁華街なう、174*80*43」
「近くの面白そうなバーは20件あります」
「5人のユーザがあなたに興味を持っています」
「こんなコンドームはいかがですか?」
エトセトラ、エトセトラ。


いまはまだ、少数のアーリーアダプター(新しもの好き)が利用しているに過ぎませんが、すでに海外では爆発寸前の勢いとなっています。
 

旧来的な価値観をもって、このような流れに抵抗しようとすれば、かえって他者との違いが引き立ってしまうことになるでしょう。


この人は何でネットに情報が出てこないのか?となるわけです。


「同性愛者はどこにいる?」と問う必要のない、カミングアウトした状態が当たり前である社会が、もうすぐそこまでやってきているのでしょう。


もちろんネット上のことだけですが、これから先、ネットが必要ない社会などありうるでしょうか?


もちろん、そのような状況になれば、同性愛者に対する差別や偏見も、白日のもとに晒され、是正されることになるでしょう。


隠れていたい方々には、なんとも居心地の悪いことでしょう。これから先、社会に適応できなくなるのは、むしろそういう人たちなわけですから。



長年、アカーでの活動に参加してきて、同性愛者の顕在化、というのは大きな課題のひとつだったわけですが、それが今後の10年の間にもだいぶ意味が変わってくるのではないか、と思います。
(TT)