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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

「『Chef's Special』(シェフズ・スペシャル)を観て@東京国際レズビアン&ゲイ映画際」〜Shogoさん感想〜

『"Chef's Special"「シェフズ・スペシャル」』
〜『Shogo』さん〜

この映画のことはだいぶ前から知っていました。



結構面白そうだということだったので、迷わずチケットを購入しました。


なんでこの映画のことを知っていたかというと、GayMovieなどを主に紹介するサイトがあって(なんとストレートの女性が運営しています)、そのサイトで、「今、海外ではこのスペイン映画が話題ですよ!」って書いてあったんですね。だから興味をそそられ、いつDVDになるのかなぁ、なんて思っていたわけです。そしたらなんのことはない、今年の映画祭で上映することになっていた。だから速攻チケットを買っちゃったわけです。




で、肝心の映画は、スペインのドタバタコメディーです。スペイン映画は過激な描写(露骨な描写?)と脱ぎっぷりのいいイケメン俳優が多いので大好きなのですが、今回の主人公はあんまりイケていない中年さん。彼はマドリードでレストランを経営しているオーナーシェフ。名前はマキシ。どうしてもミュシュランの星が欲しくて欲しくてたまりません。なので、従業員には口うるさく小言ばかり言うので、彼らから嫌みなおばさん扱いされています。こういう中年のゲイって、日本の会社でも幅をきかせてそうですよね。やたら口うるさい。ノン気のふりをしても口うるささは隠せない(笑)。



実はマキシさんには若かりし頃の過ちで結婚した妻と二人の子どもがいるのですが離婚。その離婚した妻が入院。なもんで、全然会ったこともなかった子ども達(男の子と女の子)を引き取ることになる。もうこの段階でハチャメチャになるは、ハラハラするはってのが想像つきますね。ゲイが子育てするんですから、面白くないはずはない。絶対にうまくいかないのは目に見えています。人の不幸ほど面白いものはないから、七転八倒するマキシさんの姿は、共感に値するんじゃなくて、何をやってもコメディーになっちゃう。

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更に彼らの隣の部屋には、イケメンの元サッカー選手オラシオさんが引っ越してきます。なにしろアルゼンチンのイケメンなんですから、それはそれはハンサム君です。当然のことながらマキシさんは当然一目惚れするわけです。そこからロマンスも始まるんですよ。ドタバタにロマンス。更にゲイ映画には付きものの勘違い女ももれなくついてくる。



なぜかなぜかゲイ映画には、この勘違い女性ってのが必ず存在して周囲をかき回す。今回もマキシさんとオラシオさんの間に入って、展開を面白くしちゃうわけです。ボク個人にはこういう女性(ファグハグっていうんでしたっけ?)の理解者っていうか、友達が皆無なので、人生の中でこういう女性からの迷惑を被ったことがないのですけれど、ゲイのコメディー映画では必ずこういう女性の存在が欠かせませんね。



って言うか、こういう女性の存在があってこそのコメディーなんでしょうね。まぁとにかく二人をかき回すかき回す。間を取り持つんじゃないんですから。もうイライラするほど二人の邪魔をする。しかも彼女の嫌なところは、そういう意識がないこと、ってえか、本当の勘違い女。お前って奴は・・・?と疑っちゃうくらいの女性です。


で、話は親子関係のグシャグシャなもつれまで発展します。特に美少年に育ってしまった息子との関係は悲惨です。絵本好きな娘は可愛いのですが、この息子の反発には我慢できません。と、思ってたら、最後は意外にもあっさりと父親を理解しちゃったりするギャップがまたまたコメディーなんですね。まぁコメディーですから、最後は全部丸く収まらなきゃいけないんですけれど(笑)。


この映画の中で、密かにポイントなのが、マキシさんの両親。特に母親は、ゲイの息子を拒否しないけれど(理解しているつもり)、危険を感じている。だから美少年に育った孫が、父親に手込めにされるんじゃないかと心配で心配で仕方がない。いくら欲求不満のマキシさんだって、自分の息子には手を出さないでしょうに・・・そういう当たり前の倫理観を年取った母親が理解していないところがやっぱりコメディーなんですね。むしろ息子のセクシャリティーを受け入れず、無理解である父親の方こそが常識的だったりする。こういうギャップってのが、実は実際の世間では当たり前なのかもしれません。


味方のようなふりをして近づいて来るけれど、その実、なんにも理解していない、もしくは共感なんかしてくれない、ただの怖いもの見たさ、悪意なき好奇心だけの人々。オレは君たちの理解者だよ、なんてことを信じ込ませて、陰で笑っている連中。僕たちとっては笑えないけれど、世間ではやっぱ笑いものなのかな?って考えちゃいました。



もちろんこの映画は、そういうことがテーマじゃなくて、単純に二人の男とその家族の有り様の喜怒哀楽を楽しめばいいんだけれど。でも、映画って観たあと、絶対に本筋から離れた余計なこと考えちゃいますよね。まぁそれが映画の面白さなのかもしれませんが。

Shogo




shingo:

スペインのマドリードのおしゃれな地区で、有名なオーナーシェフとしてレストランを経営するマキシ。ビジネスは順調、友人にも恵まれ、気ままな独身生活を送る彼の爆笑コメディ映画です。7月に第18回国際レズビアン&ゲイ映画祭が開催されました。今回は、映画を観に行くことが出来なかったため、英会話☆レインボーにも参加中のShogoさんにお願いし、『シェフズ・スペシャル』を観た感想を書いていただきました。コメディではありますが、「親子関係」「友人関係」など、色々なことを考えさせてくれる映画のように感じました。Shogoさんありがとうございました☆

映画祭に参加された感想を引き続き募集中です。occur@kt.rim.or.jp。まで。


(Shingo)



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