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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

あの夏の日の午後〜智子さんの「初恋」レズビアン・ライフヒストリー

夏が巡ってくると思い出す出来事がある。

18歳の夏だった。当時高校生だった私(智子)は、他の18歳とあまり変わりなく受験勉強をしていた。ただ私は、勉強したり、集中することが苦手な人間なので、イヤイヤやっていて、少しも能率はあがってなかった。

―――「初恋」というテーマで正和さんのゲイ・ライフヒストリーがスタートしていますが、今日から、いよいよ、智子さんの初恋レズビアン・ライフヒストリー が始まります!! 正和さんも、智子さんも現在30代のメンバー。でも、現在30代にかかわらず、どの年代でもレズビアン&ゲイの「初恋」というのは、いわゆる「ノンケ」を対象とした報われないもの、という風に相場が決まっているように思います。智子さんの初恋の舞台は、正和さんと同じく夏。はたして、智子さんの初恋も、夏の夜の夢となって、蜃気楼のように悲しく蒸発してしまったのか?!(Arashi)

そんな私が、足繁(しげ)く図書館に通っていたのは、ワケありだった。


悦子(えつこ)という友達に誘われ、図書館で一緒に勉強する約束をしたのだった。



図書館に行ったからといって、もともと勉強しない人が、するようになるわけない。


私は、窓の外を眺めたり、悦子の顔を眺めたり、といった具合で、はかどらなかった。


悦子とは中学からのつきあいだった。


第一印象はお互いに最悪。


しかし、少しずつ話をしていくうちに、実は面白い人、ということが判ってきて、気がつくと仲良くなっていた。


彼女とは価値観も似ているし、家族同士のつきあいも始まったので、お互いの家に行き来するようになっていた。そして泊まるようになった頃には、「ヤマシイ気持ち」が私の中にある事に気づき始めた。


家族の食卓に、私が呼ばれたときも、「良い友達」を演じながら、悦子に近づくことができた喜びを感じていた。けれども、彼女を含め、彼女の家族も、「仲の良い友達」としてしか私を見てくれていないことに絶望的な虚(むな)しさもあった。さらに彼女の家は、皆エリートだったので、その辺にも、私はコンプレックスを感じた。

(智子)【続く】