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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

新木場事件、今昔物語

新木場、今昔物語


今年7月に東京都の夢の島公園で、ゲイ・バッシング(強盗事件)が起こり、高校生らが逮捕されました。


2000年には、やはり夢の島公園で主に高校生らによるゲイ・バッシングが起こり、殺人事件にまで発展しました。



新木場駅から程近いハッテンバでのこれらの事件を結ぶ点と線とは?Yanagihashiさんの投稿です。

新木場、今昔物語

【要望書】


今年の9月、新木場事件が繰り返されないようにという思いを込めて、複数の個人・団体の賛同の下、東京都教育委員会などに同性愛者などセクシュアルマイノリティに関する人権教育・啓発の充実などを求める要望書が提出された*1



2000年の殺人事件の後に、高校生らが通っていた学校の校長先生が、生徒たちに「命を大切にしましょう」と訴えたのに比べると、要望書は具体的であり、何をすべきかということも明確である。




今後の問題は、これらの要望がどのように実現されるかであろう。今話題のいじめ問題でも、いじめられる側に対する想像力の欠如が、問題解決を難しくしている面があると思うが、レズビアン/ゲイ/バイセクシュアル、TS/TG、クエスチョンなどのセクシュアルマイノリティに対する想像力の欠如−私の隣にはLGBTQはいない−が、問題解決を妨げている部分が大きい。




とはいえ、何の準備もなく、当事者たちに向かって、「さあ、皆の前に姿をさらしなさい」というのはあまりに酷というものだ。



逃げ場も作ってやらなければならないだろうし、場合によっては、法律を振りかざして介入してくる人たちも必要だろう。



新木場事件を繰り返させないためには、(大人の)同性愛者らは持っている資源を最大限に活用し、あるいは、資源を増やしていくことも同時に進めなければならない(私だって苦しいの、という気持ちは分からないではないが)。

【修復的司法?】


2000年の新木場事件の加害少年の内、殺人事件に関わった二名は少年院に入っていた(既に出てきています)。




当時、一連のゲイ・バッシング*2の被害者の中には、
少年らに損害賠償請求をする前段として、少年院にいる少年らに手紙のやり取りを通じてより深い反省(自己洞察)を求める試みを行う者もあった(弁護士が代理人として介在している)*3




全ての人が、そのような形で、加害者との和解を図る必要はないが、今年の新木場事件の加害者は、どのようにして自らのホモフォビアと向き合う機会を得るのであろうか。



今は、少年事件についても、被害者が意見を述べる機会くらいは与えられているが、被害者は自分が次のステップを踏むために必要なことを得るために、同性愛のことについて十分に伝えることができる(た)だろうか。



コミュニティは、いろいろな資源を揃えておかなければならない。


被害者が二次被害を受けず、自尊心を取り戻し前進していけるようにするためにも、又、加害者が、自らの行為を深く省みて、贖罪(しょくざい)の気持ちと行動を起こせるようにするためにも、そして、傍観者が当事者意識をもてるようにするためにも。(Yanagihashi)

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*1:要望書については、http://blog.goo.ne.jp/shinkiba06/c/b8b86f1396f14f9249b28bce4e7a9e98

*2:2000年の新木場事件では、1、2ヶ月ほど間に十数件のバッシングが繰り返されていた。あまりに頻繁に行われていたので、加害者も記憶が混乱しているほどだった。

*3:修復的司法と言えるほどに十分な効果を挙げたわけではないが、加害者により深い反省(自己洞察)の機会を与えるとともに、被害者は、事件を消化し自分の人生を前に進めていくための契機を得ることを目指したものだった。