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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

80歳でゲイとしてカムアウト〜モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』

スパイクジョーンズ監督の新作映画『かいじゅうたちのいるところ』が全米公開となり(日本の公開は2010年1月)、全米興行1位となりました。

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映画かいじゅうたちのいるところですが、絵本作家モーリス・センダックの児童文学の傑作Where the Wild Things are(1963)を翻案したものです。


去年2008年の9月、作者のモーリスセンダックは、The New York Times誌に対するインタビューの中で、80歳で初めてゲイである自身のセクシュアリティを公的にしました。また、インタビューでは、前年の2007年に肺がんで亡くなった、50年来の同性のパートナーを看取るプロセスが、アーティストとしても、自らに残された時間が多くない、ということ意識させた、と答えています。


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写真:Spencer Platt/Getty Images

ソース:Maurice Sendak’s Concerns, Beyond Where the Wild Things Are(NYTimes.com)


絵本作家、イラストレーターとしてのセンダックは、その長大なキャリアを通してたくさんの質問をインタビューで投げかけられてきたはずですが、「これまで、まだ1度も聞かれたことがない質問はありますか?」とインタビュアーに尋ねられて、センダックは、少し間を置いてから、「私がゲイだということだ」と答えたそうです。


50年間のパートナーシップを持つことになる同性のパートナーがいたけれど、センダックにとって、ゲイであることは、「他人の知ったことじゃない」と考えていたそうです。


また、彼の両親にも、ゲイだということを告げていなかったといいます。
「両親に幸せでいて欲しかったから、ただただストレートでいたい、と思っていた。だから、両親が、私がゲイだということを知ることは、決して絶対になかった」とセンダックはインタビューで答えています。


センダックが39歳のとき、彼の母親が、癌のため余命いくばくか、ということがありました。
そのとき彼は母親を守るため、ゲイだということを一生、自分の胸にしまっておこうと決めたと言います。
そして、このとき親にカムアウトしなかった、という決断を、「いまでも後悔することがある」とも、センダックは答えています。


ニューヨークでゲイのアーティストであることは、そんなに稀なことではないけど、子ども向けの絵本作家でゲイである、ということは、彼のキャリアを台無しにしてしまうのでは?と20代、30代のセンダックは考えていたそうです。



レズビアン&ゲイの英会話クラスのトピックにもモーリス・センダック


今年、4月18日のレズビアン&ゲイの英会話クラスのレインボーで、ピーター先生が、“物議”をかもした児童文学のクラストピックの中で、取り上げたのでそちらも要チェックです。


かいじゅうたちのいるところ』(1963)に、描かれたモンスターが「子どもには、グロテスクすぎる」と出版当時、一部の親の間で非難されたといいます。
また、『まよなかのだいどころ』(1970)という作品では、「裸の男の子」がミルクの中を泳ぎまわる姿が、しばしば論争になってきた、とのことでした。

Where the Wild Things Are (Caldecott Collection)

Where the Wild Things Are (Caldecott Collection)


In the Night Kitchen (Caldecott Collection)

In the Night Kitchen (Caldecott Collection)


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