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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

同性愛者の先達を記念した教授職

米国最古の大学ハーバード大学が、全米の大学としては初めて、ゲイスタディーズなどLGBTスタディーズの研究分野に、教授職を新たに設置することになったそうです。そして、その教授職ですが、20世紀半ばの文芸批評家で、同大学の教授を務めたF.O.マシーセン(F.O. Matthiessen)(1902-1950)の生を記念した名称が付けられる予定だといいます。

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F.O.マシーセンといえば、アメリカのことを学ぶとき、名前が出てこないことはないという位の知の巨人。ハーマン・メルヴィルウォルト・ホイットマンなど現在では、ゲイ文学としても読むことのできる、アメリカ文学の古典中の古典を、アメリカ文学の研究対象として取り上げることができるようになったのも、F.O.マシーセンの業績であるといえます。


1950年、20年来のパートナーシップの持ったマシーセンの同性のパートナー(芸術家ラッセル・チェイニー)が亡くなった時、これ以上生きていても意味はないと絶望したマシーセンは、ボストンのホテルの窓から身を投げ、後を追って自ら命を経ちました。


同性愛者が同性愛者であることを語ることもできなかった時代、ひとり残されると自ら命を絶つほかない、そんな時代を生き抜いたF.O.マシーセンですが、そのようなゲイの先代が生きたことを忘れず、同性愛のことを学ぶことができる大学のポストの名前に、その名前を冠することができる歴史意識に、コミュニティの努力と成熟を感じます。