QMblog's blog

レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

変わらないこと

2008-09年越しパーティーに参加して(K・K)

◆「年越し」という時間

アカーのメンバーでいっしょに年を越すという行事が始まったのは、おそらく十数年前のことだったように思う。


この国では、「正月」とは一年の幸福を祈るために、歳神さまを家に迎えるために家族で過ごす大切な時間とされている。

世間でも、メディアなどで同性愛者の姿を目にする機会は以前にくらべてはるかに多くなったとはいえ、やはり自分のセクシュアリティを家族にカミングアウトするのは、同性愛者にとってはそうそうたやすいことではない。


家族で過ごすお正月という時期、やはり同性愛者のなかには、家族に居心地の悪さを感じたり、また親戚の相互の訪問などでは結婚話なんかも出てきて、ややこしく感じる人も多いのではないか。



いっそそんな家族の「しがらみ」から脱け出して、同性愛者だけで年越しをしようということになり始まったこのイベントは、当初は泊りがけの合宿形式で行なわれていた。

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ふだんの合宿であれば、きまじめな勉強会などをこなしていたけれど、年越し合宿はお楽しみイベント的な要素が強く、餅つきをしたり、初詣に出かけたり、また自作の演劇なども披露したりしていて、「正月色」にひたっていたのを思い出す。





◆“change”の年に“相も変わらず”


ここ数年、アカーの年越しイベントには参加できずにいたが、2008年の年末は事務所でパーティが開かれるとお聞きし、参加させていただいた。



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事務所には、19時ごろから人が集まりはじめ、事務所スタッフによるお手製の料理と参加者が持ち寄った数々の品で、見る見るうちにテーブルがいっぱいになった。



手作りの料理がたくさん出てきて、グルメが多いというアカーの「伝統」は昔と変わっていなかった。



そんなおいしいお食事に舌鼓を打ちながら、なつかしいアカーの友人たちと昔と変らずにお話することができたのはなによりうれしかった。


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89年に初めてアカーにかかわりはじめて、思えばほぼ20年の月日が過ぎたにもかかわらず、アカーの仲間たちとはつい昨日も会っていたかのように心易くいろんなことを話すことができた。



このごろは、オバマ大統領ではないけれど、海の向こう側でもこちら側でも「change」や「変革」が大流行だ。


もちろん前に進むには変化や変革はとても大事なことだが、巡りくる年の変わり目に、いや年の変わり目だからこそ、敢えて「変らないこと」の大切さを感じ入ったひとときだった。



「相も変らず」というと、「進化しない」という意味にとられてネガティブな様相を想像されがちだが、おおよそ20年という年の重なりのなかでは「相も変らず」何かをするということは言祝がれてよいことだと思う。






◆「相も変わらず」50年

さて、今回のイベントにはこのようにすばらしい意味で「相も変らず」連れ添って50年を迎えられたというゲイカップルの参加があった。



新宿二丁目でゲイバーを経営されているカップルだ。



司会の軽快なつっこみと、それに対して照れながらもしっかりとお答えになっていたお二人のトークは、面白かっただけではなく、どんな本にも書かれていない日本のゲイの歴史としても聞きごたえがあった。



お二人の人生には、語りつくせないぐらいの出来事があったと思うけれど、やはりそれ以上に「相も変らず」50年をともに過ごしたということそれ自体がすごいのである。



そして、そのことは私たちに勇気とエネルギーを与えてくれる。



私は、さらにお二人の歴史がこれからも長く続くことを期待しつつ、また私たち、一人一人の歴史も作られていくことを認識した。


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(K・K)