LGBTのためのクリニック
カレン-ロード・コミュニティ・センター
ニューヨークのレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーコミュニティを対象として、医療費の支払い能力に関係なく、LGBTのクライアントに医療サービスを提供しているクリニックCallen-Lorde Community Health Center。2008年12月22日に訪問しました。カレン=ロードの歴史
カレン=ロードの歴史は、1960年代後半〜70年代初め、“Saint Mark’s Clinic”と“Gay Men’s Health Project”という2つのボランティア・ベースのクリニックが活動していたことにさかのぼるそうです。60年代、70年代の当時から、ゲイのクライアントが多かったといいます。2つのクリニックは、彼らのために、主に性病についてのサポートを行っていたそうです。
1983年、ニューヨークに、LGBTのための病院がなかったため、「コミュニティ・ヘルス・プロジェクト」というものを立ち上げて、2つのクリニックは合併しました。
1998年から、名前を“Callen-Lorde Community Health Center”として、主にLGBTのHIV感染者と保険がない人のためにプログラムを行っているそうです。当初のクライアントの、男女比は、6がゲイ、4がレズビアンだったそうです。
現在のカレン-ロード
運営は1億円規模とのことでした。宣伝広報活動も、そんな積極的には行っておらず「口コミ」がメイン。
現在のクライアントは、保険がない人と、トランスジェンダー、そして女性の利用が70%とのことでした。
主にゲイが、利用者の大半を占めていた時代から、
その後の利用者の重点が女性やトランスジェンダーに移行していったことは感慨深いと思いました。歯科など医療設備
ビルの1フロアーごとに、「歯科」や「検査」、「カウンセリング」(メンタルヘルス)、「LGBT専門のフロアー」、「ユース専門のフロアー」など分かれていました。
専属の医師も数名いる、とのことです。
歯科がかなり充実していました。
理由は、HIV感染者が安心して通える歯科がなかったため、
新たに歯科を設立したからとのことでした。
カレン-ロードで、HIVの検査を行うときは、
血液検査(腕&指から採血)を実施していて、
唾液の検査は、偽陽性の率が高く、信頼性が低いため、
行っていない、とのことでした。
基本的には、かなり多くの病気の検査を受けることができるが、
市内に、提携している病院があるため、特に特定の検査が必要な患者は、
そこで検査を行うこともある、とのことでした。
カレン=ロードには、入院設備は備えていないそうです。
入院が必要な患者は、NY市の他の病院で受け入れてもらっている、とのことでした。婦人科疾患については、もっと聞きたかった
個人的には、婦人科疾患やHIV以外のSTDについても伺いたかったのですが、
言語の問題もあって、あんまり突っ込んでは聞けなかったのが残念。。。
運営規模1億円で、ここまで広くカバーできているのはどうしてなんだろうと思いました。
全くの無料で医療を提供している訳でないためか、とも思うが。。。
感想
カレン-ロードは、NY市の他の病院や、
ドラッグのための団体やホームレス団体などとも提携しているようでした。
カレン=ロード単独で成り立っている事業は少ない印象を受けました。
日本での当事者NGOが、行政や病院などと提携していくことは、
大変だけれども重要なことではないか、と思いました。
(Mikako)
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