ゲイ・セレブレーション
「サンフランシスコ・ゲイ・コミュニティ形成史」
このようにして形成されたサンフランシスコのゲイ・コミュニティのなかでは、そのコミュニティの組織化、制度化を達成するためにさまざまな努力がなされた。
1970年代には、マーチング・バンドや合唱団などの文化的活動の組織や、カウンセリングのためのグループの結成、あるいはゲイのビジネスのネットワークであるゴールデンゲート・ビジネス・アソシエーション(Golden Gate Business Association)などが設立された。またゲイ・コミュニティではフェアやストリート・フェスティバルも企画され、これはコミュニティに対する重要な経済的支援になった。
これらの催しの中には、1972年にハーヴェイ・ミルクによってはじめられたカストロ・ストリート・フェア(Castro Street Fair)やクリスマス・キャロリング、ボザール・ダンス大会、ハロウィーン、ゲイ・パレード、ハーヴェイ・ミルクとジョージ・モスコーニを記念して毎年開かれる行進、ミルクの誕生日パーティなどがあげられる。
このようなストリートを中心とした都市文化は、公的な場所に集まり、そこで楽しむことを意味してはいるが、それと同時に音楽やゲームが政治的なメッセージのための新たなメディアを創造し、新たなコミュニケーションのネットワーク確立のために絡み合っているのである。ゲイ・セレブレーションというある種の祝祭は都市文化という側面をもつほかに、それは政治的闘争の象徴やゲイ・コミュニティの力や闘志の表れでもある。
【つづく】 「サンフランシスコ・ゲイ・コミュニティ形成史」
※(本記事は当時のアカーの機関紙『ゲイ・ライツ』の1993年臨時増刊号に掲載された同名記事をベースにしています)