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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

初めてのこと、変わらないこと〜10年目の沖縄

―――人気の観光地も、旅する同性愛者たちの視点を持って見るとちょっとだけ違って見える。2008年2月16-17に渡って行われたゲイのイベント「ライフガード」沖縄ツアーに同行したTTさんにレポートをお願いしました(Arashi)



初めてのこと、変わらないこと

〜10年目の沖縄(レポート:TTさん)

私が初めて沖縄を訪れたのは、1998年の夏のこと。


なんともうすぐ10年が経過しようとは、自分でも少々驚きだった。


最近では、猫も杓子(しゃくし)も沖縄オキナワおきなわとコミュニティ界隈(かいわい)は実に賑(にぎ)やかで、なんだか「片思いの相手が、ハッテンバで遊んでいるという噂(うわさ)を聞いてしまった」ような感情を呼び起こされると言ったら、ちょっと乙女チックに過ぎるだろうか?


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そんな、ちょっと斜(しゃ)に構えていた私ではあったけれども、那覇(なは)空港に飛行機が着いたときから、もう気分は観光客である。遊び慣れた沖縄本島? いやいやどうして。2月の沖縄は風が冷たい。沖縄なのに上着が脱げない、こはいかに、というだけで、なんだか新鮮なものなのだ。


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でも、考えてみれば今回はいままでやっていない体験を結構しているような気がする。沖縄であえてタイ料理や中華料理を食べてみたり、三線体験教室に参加してみたり、市場の中にある「高級安宿(笑)」に泊まってみたり、にわか観光ガイドとして首里城を案内してみたり。というように。


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土曜日とはいえ、午前0時から始まるライフガード。これも初めての体験だ。もちろんMCのマサト&ショウタをはじめ、他のスタッフ皆もそうだったろうと思う。イベントを終えてバータイム。ひとしきりお酒を楽しんで、マスターから厄除(やくよけ)けの火打ち石まで打ってもらって送り出され、24時間営業の沖縄ソバ屋で締めの食事をすると、宿に帰るころには午前6時。


日の出が遅い沖縄とはいえ、なんとなく東の空が明るいような感じになっていた。いやはや四十路を迎えた私でもこれほど遊び呆(ほう)けられるとは。

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もちろん、十年一日変わっていないものも沢山あるし、それはそれでマンネリズムが安心させてくれるというものでもある。首里城の展望台からの眺めも、ジャッキーステーキの味や雰囲気も、りっかりっか湯でのスリリングさも、何度行ってもあまり変わらないが、それが良いところなのである。

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かつて、初めて沖縄を訪れたおり、日本における沖縄の立場っていうものは、異性愛中心なこの社会でのゲイ・コミュニティのそれに似ているのではないか、と考えた。真夏の暑さの中、ビーチにぼおっと佇(たたず)みながら、マジョリティに同化せよという圧力に負けないためのアイデンティティの大切さを考えた。

変わっていないといえば、そんな状況も10年経ってもいまだに変わっていないだろうと思う。

いや、それどころか、同化への圧力はいよいよ強まっていると言えるのではないか。

先の戦争体験すら否定されようとしている、そんな状況では。

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そして、経験に基づく「語り」を否定するあたり、その構造は、「同性愛者に対する差別なんかこの社会には存在しない」と平気で言い放つ者の精神のそれに、とても似ているように思えるのだ。

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ちょっと観光レポートとは離れてしまったが、私にとって「沖縄」とは、それを語るために自らの立脚点を確認しなくちゃいけないような、そんな気持にさせるところなのである。それは初めて行ったときもそうだったし、今回もそうなのだ。

沖縄とは、そんなところなので、私はきっとまたぞろ足を運ぶことだろう。

そして、何回も行っているのに初めてのことと、何回行っても変わらないことを探すに違いない。


(TT)


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