あの夏の日の午後(2回目)
「友達」という関係で始まった悦子に対して、いつから「恋愛感情」がいつ生まれたのか、今となっては思い出せない。
何が何やら自分でも分からなかった。悦子のことは、「好みのタイプ」とは言い難かったし、そもそも中学の頃は、男子生徒に恋愛感情を持っていた。
中学3年の頃からファンになった女性タレント(斉藤由貴)に、それまでのお気に入りとは違った視点で見ている自分に気がついても、考えるという作業をしなかった。
自分のセクシュアリティを考えるなどという発想が無かったのだ。
―――「初恋」についての智子さんのレズビアン・ライフヒストリーの2回目をどうぞ。(Arashi)
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それでもなんとなく、悦子に仲の良い友達としてだけではなく、別の欲望がある事は分かっていた。彼女に触れたい、彼女を独占したいといった欲望が。
ある日。いつものように早々と図書館へ行くと、休館日だった。
仕方なく悦子の家で、一緒に勉強することになった。家に着くと、彼女は「昼寝をする」と言い出した。
そして、私に構わず布団を敷き、寝始めてしまった。
私も隣の方に横になったのだが、鼓動が早くなっている事に気づいた。
(智子)【続く】