あの夏の夜のできごと〜(正和2回目)
あの頃をみつめて
ライフヒストリー・スナップ
「あの夏の夜のできごと」(正和2回目)
そんなこんなでサトシとの関係が希薄になっていくなか、ついに彼は「部活をやめようと思う」と言い出した。
部活以外でサトシと会う機会がなくなりつつあった自分にとって、サトシが部活を辞めるということは、かなりショックだった。
彼との関係にトドメを刺されるようなもので、かなり焦りがあった。
―――「初恋」というテーマでスタートした正和のライフヒストリー2回目をどうぞ(Arashi)
何もなくても「サトシとの距離がずっと続くのでは」という錯覚に陥(おちい)っていたのかもしれない。
彼自身、優柔不断なくせに真面目なところもあって、部活を辞めることにかなり責任を感じていたようだった。
部活の集まりで泊まりがけで皆で酒を飲んでいた時のこと。ひどく酔っ払って先に部屋に引き上げたサトシのことが心配で、様子を見にいったら、サトシは「皆にすまない」などと言いながら一人で泣いていた。
すかさず彼を励ましつつ、彼の肩に触れることで自分の胸の鼓動が早くなることを意識せずにはいられなかった。
そして、ついにサトシが部活を辞める日が来た。
その日、自分はとくに取り乱すようなことはなかったと思う。
哀しい気持ちだったけれど、なにかしら「区切り」のついたような気持ちだった。
その夜。「家に泊まりに来ないか」とサトシを誘った。
(正和)【続く】