QMblog's blog

レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

ライフヒストリーについて〜その3〜


近々発行される『QM』の「ライフヒストリー」号。
その予告編として、ライフヒストリーというテーマについて、編集部Arashiがつらつらと記している雑文、その第3弾でございます。筆者のキャラを反映して、かなり暑苦しく、熱い思い故に、ちょっと胸焼けするかもしれませんが、それでもよければ、しばし、お付き合いを。

世の中には、いろいろな「(ライフ)ストーリー」があふれている。「一代記物」として、歴史上の人物や、成功した偉人の一生が出版され、ドラマや映画になっている。定年を機に、自分の年代記を本として出版してみませんか?というような企画も話題だ。そして、インターネットにはたくさんの日記サイトが。。。それらの背後には、「お手本がほしい」という気持ちであったり、「出世」や「成功」という価値観であったり、「みんなと同じじゃつまらない」とつぶやきであったり、「聞いて聞いて」という主張であったり、ただ気持ちを整理したいだけという思いであったり、自分のプライバシーは守りつつ他人のプライバシーはちょっと覗いてみたい、という気分であったり。一行でまとめることなんてできない、そんな目くるめく、たくさんの理由のもとに、いろいろな「個人のストーリー」が日々産み出されている。これは、ただごとではない、「現象」といってもいいほどである。


そして、今回、そんな大海原に落とされた一滴のしずくのように、『QM』誌の「ライフヒストリー特集号」が、発行されることになった。


では、なぜそんなことを始めたのかというと…。

同性愛者のライフヒストリーの絶対数が少ない!

というのがスタート地点です。

絶対量、不足しています

そもそも社会には、「同性愛者が、同性愛者として、同性愛者の話をじっくりできる場」が絶対的に少ない。
そして、レズビアン/ゲイには、その機会こそすごく大切である、と思うわけです。

誰しも、まわりの誰かを見て、ああはなりたくないな、とか、ああなりたいな、と考え、「自分とは何者か?」を突き詰めながらオトナになるものだが、レズビアン、ゲイの場合、同性愛者のライフヒストリーが周りにない状態で体だけ成長するから、レズビアン、ゲイのオトナになる機会を奪われて成長する。

親の背中を見て子は育つ、とはいっても、そもそも、その親が、所詮は異性愛者であり、親からしても、どんなに子供を愛していたとしても、子供は、当然、異性愛者だと誤解して育てている。学校に行っても、会社にいっても、状況は同じだ。

そんな同性愛者が、初めて他の同性愛者の経験を聞いたとき、いろいろな忘れていた感情を思い出す。それらは、思い出されることなく、忘れ去られていた感情たちだ。

もしかしたら、ライフヒストリーを聴く経験によって、同性愛者は、同性愛者であるということを忘れさせられてきたことに気づく、ということかもしれない。同性愛者であることに気づくためにも、同性愛者のライフヒストリーが必要とされている。


LGコミュニティ、ライフヒストリーを語る場は十分?

一般社会とちがって、同性愛者が集まるコミュニティには、レズビアン/ゲイが他の同性愛者に出会うための手段や場所がたくさんある。出会えば、おのずと相手の話を聞いたり、自分のことを話したりする機会ができる。ところが、実際のところ、その多くは、毎日の天気や、好みのタイプや、新発売のコンビニ弁当の話題や、好きな音楽や、おっかなかった話に大半の言葉が費やされていたりする。(実際、私もそういうふうにして生活しています。)

そう考えていくと、案外コミュニティにおいても、あらためて「初恋」「カミングアウト」「気づいたとき」などのテーマについて、きちんと向き合って話し合うことが大前提の場って、すごく少ないのではないだろうか?ということに行き着く。 

「レズビアン、ゲイであるということにこだわらないで、とくかく楽しく話せれば」という場はたくさんあっても、「レズビアン、ゲイであるということにこだわって話そう」という場は少ない。

「同性愛者であることは、個人の一部分にしかすぎないのだがら、必要以上にこだわらないでよい」と言われることがあっても、「せっかく、一部なのだから、とことんそこを追求しましょう」と言われることは少ない。

「たまたま好きな人が同性だっただけだから、同性愛/異性愛なんて、こだわらなくてもいいのでは」といわれると、時には、とことんこだわる機会があって何が悪い?という思いは強くなる。

日頃、目をそむけさせられていることをきちんと直視することによってしか、スタートできない。
そのように思うのだが、いかがだろうか? 

レズビアン&ゲイのライフヒストリーは、濃密にならざる得ないし、今号『QM』のライフヒストリー特集号は、おのずと濃密な特集になっていると思います。ただ楽しく、肩の力を抜いて読めるようにいろいろと工夫はしたつもりです。


購読者の皆様、発送作業までしばしお待ちを。
もし、読んでみたいな、と興味在る方は、こちらまでご一報を。

次回は、今号の具体的な内容をすこし紹介できればいいな、と思います。


◎特集テーマについてこれまでの記事
リターン・トゥ・マイ・セルフ?
『ライフヒストリー』

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