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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

生デズリさん、見ました!(その2)

レズビアン編集員Sが、女性のためのコミュニティイベント「パフナイト」に参加してきました。レポート2回目です。

それにしても。


デズリさんのお話を聴いて、作品からも感じられる、彼女の頭の良さ、センスの良さを、改めて感じました。

彼女のメッセージで、私が最も共感した部分はというと…


自分のやりたいことを目指して映画を作るけれど、商業主義ともうまく折り合いをつけて、メジャーなものにも乗っていくという考え方。


確かに、この感覚はビジネスではとても大切です。


「レズビアンもの、同性愛ものは、所詮マイナーだから」、とか、「売れなくても仕方がない
、と、はじめから決めつけたり、売れなくても自分のやりたいことを貫きますなどと言って、結局誰の目にも触れぬまま・・・。


とにかくメジャーなものに乗せられる方法を考えて、したたかに、メジャーなレールに乗っていく。


もちろんそれで、満足ではないけれど、誰の目にも触れないよりは、数段いいのではないかと思う、という考え方。


私は、とても共感できますね。


私も会社人間を長くやっているせいか、その辺のビジネス感覚は、似たようなものを持っているので。


完璧なアウトプットを目指して、時間やお金をロスしていては、誰にも相手にしてもらえなくなります。


そうではなくて、たとえ完成度%位でも、絶え間なく、アウトプットして、他人の批評を恐れずに仰いでいく作業の積み重ねが、何よりも大切なのだと。


これは、私も仕事上、いつも心がけていることです。


それから、多くの国々での生活経験を踏まえての、
デズリさんの視点は、海外生活経験のない私には、とても勉強になりました。


デズリさんが生まれ育ったマレーシアでは、
マレー人が進学、就職など生活のすべての面で優遇され、
しかも、同性愛は犯罪だとか。


チャイニーズでレズビアンのデズリさんは、常に生きにくさを感じていたそうです。


そして、移住したカナダではどうか、というと、
一見同性愛に寛容な国のように見えるが、
メジャーな地位にいるのは、白人の同性愛者だけであって、有色人種の同性愛者は、
やはりマイノリティー中のマイノリティーで、黙っていたら、その存在さえも無いものとされるし、これでもか、というくらいにアピールしても、無視されることが多いとか。


デズリさんの、知的なたくましさ、したたかさは、
この経験によるところが大きいのではないか、と思った次第です。


そして、久しぶりに帰って来た日本の印象は、というと。

とても息苦しい、と。

だからこれから先、長く日本にいるつもりはないそう。


「自分は、根無し草で、ボヘミアンのように、いつもいろいろな国をさまよっている」
とデズリさんは言っていたけれど、


いろいろな国を突き放して客観的に見る目を持った彼女は、
決して根なし草などではないですね。


彼女は、どこの国で生活しても、
きっと、たくましく根を張っていろいろなものを吸収できるのだ、

と私は思うのです。


私には、果たして根はあるのだろうか?!
日本で生活していると、気がつかなかったり、
麻痺してしまう感覚に、ふと気づかされた夜でした。

〜完〜

(編集部S)