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レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

レズビアンのプロテニス・プレイヤー・グランドスラム優勝

アメリ・モレスモ」が全豪オープンに優勝しました。いくつものスポーツにも精通しているYanagihashiさんより、「ウの目」の原稿が届きました。

レズビアンのプロテニス・プレイヤー・グランドスラム優勝

オープン・レズビアンとしては初のグランドスラムタイトルの獲得ということだ。


レズビアンのチャンピオンということならば、ビリー・ジーン・キング、マルチナ・ナブラチロワという、まさに時代を画した女王(様?)がいたわけだが、 絶対的なチャンピオンのいない現在の女子テニス界において、群雄(雌?)割拠の状況を抜け出して、彼女は、女王列伝の登場人物として歴史に名を刻むことができるだろうか?


さて、一部の報道では、「女子テニス界ではレズビアンは珍しくない」というようなことをいっているものも見かけたが、単に同性愛者の人口比の問題としていうならば、女子で珍しくないならば、男子テニス界でもゲイは珍しくないということになるはずである。


ところが、男子テニス界にはオープン・ゲイの選手はいるのだろうか?*1

単に大きな大会で勝ち上がるほど強くないため、注目されないというだけなのか?

それとも、レズビアンに比べてゲイの場合はオープンにしづらい状況があるのだろうか?*2

あるいは、興味本位で寄ってくるマスコミにセクシュアリティのことを話すのはうんざりすること以外の何物でもないのだろうか?*3


世界的なスポーツがビッグ・ビジネス化する中で、かつてのようなスーパースター(テニスに興味のない人でも名前を知っていて、すごいんだってネ〜、といわれるような人)不在の状況(規模が大きくなればなるほど時代を画するような大物は逆に出にくくなるのかもしれないが)を脱して、アメリ・モレスモが、マリア・シャラポアなぞ蹴散らして(かつてマルチナ・ナブラチロワには、クリス・エバートという「ライバル」がいたためによりその輝きを増した)女王の地位に上り詰めることができるならば、クロゼットやステレオタイプの枠組みに押し込めようとする圧力にも勝ったチャンピオンとしてその名をテニス史に刻むに違いない。



因縁の全豪オープンは制した。*4
次は、ウインブルドン制覇だ(全仏オープンもあるが、やはり、
テニスには芝生の女王が相応しい)。


(Yanagihashi)

*1:ゲイの世界チャンピオンというと、テニス草創期の巨人ビル・チルデンくらいしか思い浮かばない(もちろん噂のあった選手は有名どころでも何人かいた)のだが、どなたか、カミングアウトをしたか(アウティングされた)ゲイ選手を知っていたら教えてください。

*2:アメリカン・フットボールのナショナルリーグの元プレーヤーがゲイPHAであることを明らかにしたという記事もあった。http://www.cnn.com/CNN/Programs/anderson.cooper.360/blog/2006/02/gay-former-nfl-player-tackles-demons.html現役中にカミングアウトできないストレスから逃れるために薬物の力も借りていたという件などは、スポーツの性質の違いを超えたホモフォビアの存在を想像させる。

*3:水泳界のスーパースターであるイアン・ソープが、自身のゲイ疑惑について一切無視をすることにしたと語ったそうだが、むべなるかな。http://www.advocate.com/news_detail_ektid24869.asp

*4:1999年の全豪オープンでの、お茶目なヒンギスの一言(「モレスモは半分男よ、カノジョも連れてきてるし」)から、彼女のテニス界におけるカミングアウト・ストーリーは始まったと思っているのだが勘違いだろうか? そして、いつの日か、女王の座を狙う若き挑戦者に煽られているときに、「ウインブルドンを制した者が真のチャンピオンよ」とばかりに、渾身の勝利をつかみ、恋人と抱き合うシーンが全世界に中継されるという幕切れは、妄想も甚だしすぎるであろうか?