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QMblog's blog

レズビアン&ゲイライフをサポートするNPO法人アカーのWEBマガジン。編集部:「ふじべ・あらし」がお伝えしています。

幻の終わり(4/4)

幻の終わり(4/4) ●「幻の終わり」 <前へ 1 2 3 4 次へ> 逆島鉈: 結局、二人は揃って店を出て行った。真はたぶん吉村と寝ているだろう。そして気が向いたらまた吉村と会うかもしれない。もしかしたら二度と会わないかもしれない。どっちにしても、僕と真…

幻の終わり(3/4)

幻の終わり(3/4) ●「幻の終わり」 <前へ 1 2 3 4 次へ> 「やっぱりGWだから、人混みすごかった」扉を勢いよく開けて真(まこと)が入って来た。 この男なのだ。 いい触感のある男。 三つ年下。 真とは二回寝た。 話しは合うし、電話も交互にきちんとか…

幻の終わり(2/4)

幻の終わり(2/4) ●「幻の終わり」 <前へ 1 2 3 4 次へ> 横顔を見た時、そうじゃないかなと思って客に声をかけたら、やっぱり吉村だった。高校の同級生でいじめられっ子だった奴。 そんなに仲は良くなかったけど、高校の同じクラスにゲイが少なくとも二人…

幻の終わり

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる短編集第5話「幻の終わり」(1/4)〈逆島鉈〉 人は長く一つの事を願い続けると、いざそれが叶った時に失望を必ず味わう。 充実感を得ることはまれた。 新生活にも慣れ、そろそろ冒険を始める四月の終わ…

「幻の終わり」連載します!

コミュニケーション・ツールの変化や、この不況の影響などで同性愛者同士の「出会いの場」としての地位も相対的に落ちてきているといわれる同性愛者の一大繁華街「新宿2丁目」。日本や東京に限らず、ゲイバーを巡る世界的な現象として、かつてゲイのお客さん…

「バスカヴィル家の犬」(10/10)

僕らには居場所がない。 なんで公園に毎日来てしまうのかわからない。 誰かと話したい。 たとえチビのオヤジで、ケツをさわられたって。 アフリカで、ライオンに食べられるシマウマを見たことある? シマウマは、仲間が食べられる姿を見ないようにして全速力…

バスカヴィル家の犬(9/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> 「見舞いになんか行くんじゃねえぞ」 木島さんの一言にエイフクと僕は顔を見合わせた。 マツドが立ち上がる。 「木島さん、何かあったら、助けてくれるって言ってたじゃー」 マツドが最後まで言…

「バスカヴィル家の犬」(8/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> 六本木や上野から、たまに危ないオヤジが流れてくる。 木島さんは、敏感に相手の眼を嗅(か)ぎわけて男の子を紹介する。 そのオヤジは七三分けのどこにでもいる清潔そうなサラリーマンだったの…

バスカヴィル家の犬(7/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> 騒ぎを知ったのは金曜日の昼だ。 サメズが昨日の夜、悪い犬に咬まれたと、マツドが公園に駆け込んで来た。 サメズはシモキタに憧れていて、いつか専門学校に通わせてくれるいい犬に出会えると信…

バスカヴィル家の犬(6/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> サメズは声優になりたいんだって。 木島さんは、声優なんて知らないのに、うんうんって笑ってうなずいてた。 でもどうしたらなれるのかわからなくて、とりあえず学校に行きたいってサメズ言って…

バスカヴィル家の犬(5/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> 朝の四時半頃の新宿って歩いたことある? 空気が冷たい中をよくサメズを真ん中にして、伊勢丹や丸井の前を歩いた。 道にはタクシーしかいなくて、自分達が特別な人間に思える。 空が青くなって…

バスカヴィル家の犬(4/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> サメズは人気者だった。 顔もジャニーズ系で可愛いかったし、客待ちのダベリの時もいつも皆を笑わせて、頭のいい奴だった。 18だった。 たいていエイフクやマツドみたいに男の子同士で仲が悪か…

バスカヴィル家の犬(3/10)

●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> “見えない犬”って、本当に居るような気がする。 客を待つ間、エイフクから聞いた話では、もう足を洗った僕らの先輩に「シモキタ」って奴がいて、「シモキタ」は、続けて二回買われた客に大磯の…

バスカヴィル家の犬(2/10)

バスカヴィル家の犬(2/10) ●「バスカヴィル家の犬」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ> この公園の“パパ”は、木島さんだ。 昔からこの二丁目あたりを仕切っている組の中途半端なチンピラ。 木島さんは背が高くて眼鏡をかけていて、いつも笑っている。 優…

バスカヴィル家の犬

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる短編集第4話「バスカヴィル家の犬」(1/10)〈逆島鉈〉 公園には見えない大きな犬が住んでいて、ときどき客に姿を変えて僕らを買いに来る。 二十歳(ハタチ)になっても、まだこの公園で体を売っている…

利き腕(8/8)

利き腕(8/8) 結局、私は書きあげた本を、松山に手渡すことなく、彼と店の前で別れた。もう一軒行こう、という松山の誘いを断わって。 松山は最後まで、不思議そうに私を見ていた。 利腕ではない方の手で、気まぐれで馬鹿馬鹿しい事を、私は時々やってしま…

利き腕(7/8)

利き腕(7/8) なんか話とかあんまり盛り上がってなくて、浅見の眼ばっか気になっちゃって。 いつも見てるお客の顔とかでも、あんま見たことない眼っていうか。 ふーん、ブスでも物書きゃ眼も光るんだって感じで。 でもあんまりじっと見てると、浅見が勘違い…

利き腕(6/8)〜繁華街の話

利き腕(6/8) 私は馬鹿馬鹿しくなっていた。酒も不味いと思った。 昔の思い出を気もそぞろに話ながら、目の前の松山が、見すぼらしく見えてきた。これから坂をゆるゆると下っていくであろうその容姿。口をついて出る話題は、流行と歌手とバーの店主の悪口が…

利き腕(5/8)〜繁華街の話〜

利き腕(5/8) 浅見って、4年前と変わってなくて、「あんた四年もブスやってたの?」って感じで、椅子に座った時、ウケそうになっちゃって。 あ、一つなんか変わったじゃんってトコあって。なんか眼だった。ふーん、浅見ってこんな眼してたんだって感じ。カ…

利き腕(4/8)

利き腕(4/8) 松山は、たっぷり40分遅れて店に入って来た。遅れてきた事を謝らずに、自分の酒を注文して座った。私はこの瞬間、胸の動悸(どうき)がきっと激しくなるだろうと思っていた。 第3話「利き腕」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 次へ> 松山は、酒場での4…

利き腕(4/8)

利き腕(3/8) 待ち合わせは新宿二丁目のバーだ。昔、大学のゲイサークルのたまり場だった店だ。私がフられたのも、このバーだった。 第3話「利き腕」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 次へ> 浅見からの電話、とらなきゃよかったって思って。まあ、昔フッた相手だし…

利き腕(2/8)

利き腕(2/8) 私はこの四年、自身のブスに対して努力は全くせず本を二冊出版した。一冊目は自分のゲイである部分についてのエッセイ。二冊目は女性ポルノ作家との対談集だ。巷で私は「ゲイライター」と呼ばれている。 第3話「利き腕」 <前へ 1 2 3 4 5 6 7…

利き腕

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる短編第3話「利き腕」(1/8)〈逆島鉈〉 利き腕(ききうで)ではない方の手で、わざと日常の動作をしてみる。意味がなく、気まぐれで馬鹿馬鹿しい事を。私は時々、そういう事をしてしまう。 松山と会う…

エジプト十字架の秘密〜「新宿二丁目」をめぐる短編

事件は、牧村一人の詐欺(さぎ)事件として処理された。 捜査の手は帝国ホテル経営陣にも及び、それがきっかけで、創業者一族も株主総会において、経営側から一掃された。 <前へ 「エジプト十字架の秘密」 1 2 3 4 5 次へ> 地上げ資金も使途不明金として処…

エジプト十字架の秘密(4/5)〜「新宿二丁目」をめぐる短編

地上げが、全ての地所の約30%を超えたある夜、牧村は二丁目のバー「ファラオ」に居た。カバンには、明日の地上げのための資金である2500万が入っていた。その金は、明日の朝の10時には、「新宿二丁目」の町内会の役員複数に渡るはずのものだ。 <前へ 「エ…

エジプト十字架の秘密(3/5)〜「新宿二丁目」をめぐる短編

牧村は「二丁目」を愛していたが、同時に憎んでもいた。この街に愛され、ゲイとしての幸せのようなものを感じた事もあったが、たしかにこの街に傷つけられもした。 <前へ 「エジプト十字架の秘密」 1 2 3 4 5 次へ> この「二丁目」が、完全に無くなること…

エジプト十字架の秘密(2/5)

牧村伸一は、大手私鉄資本による不動産会社の営業マンである。色白の長身に、するどい目元を持った牧村が、自身をゲイだと“認定”したのは25才のことだ。 <前へ 「エジプト十字架の秘密」 1 2 3 4 5次へ> 彼はあるゲイ雑誌の社長から密命をうけ、極秘に二丁…

エジプト十字架の秘密(1/5)〜「新宿二丁目」をめぐる短編

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる短編第2話「エジプト十字架の秘密」(1/5)〈逆島鉈〉 バブルの頃、各々の土地を枕に、人はさまざまな夢を見た。南北約200m、東西約150mのゆるやかな坂道の街、「新宿二丁目」。バブルが弾けきった94…

八百万の死にざま(4/4)〜「新宿二丁目」読みきりフィクション

大人になるという事。子供じみた、ちゃちな思いやりが死に始める時、人は大人になるとしたら……。 <前へ「八百万の死にざま」 1 2 3 4 うじきさんが声を掛けてきた。5分程、駅へ向かい歩いた頃だった。 「さっきの子だよね。ありがとう。かばってくれて。お…

八百万の死にざま(3/4)〜「新宿二丁目」読みきりフィクション

棚のファイルから、うじきさんに目を何気なく移した。心臓が止まりそうになる。背広の内側に、確かにビデオテープがすべり込んだのだ。 <前へ 「八百万の死にざま」 1 2 3 4 <次回へ うじきさんに目を何気なく移した。心臓が止まりそうになる。頭にカッと…

八百万の死にざま(2/4)〜「新宿二丁目」読みきりフィクション

店に入ってきた客の顔が、目に入った。「うじき」さんだった。 その日は早番だったので、店には社長も、猪子さんもまだ居ない。 うじきさんは、そのまま、俳優の同名の人に10年足したような人だ。 老けたうじきつよし。 割と品が良くて、服のセンスもいいの…

八百万の死にざま(1/4)〜「新宿二丁目」読みきりフィクション

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる短編第1話「八百万の死にざま」(1/5)〈逆島鉈〉 床に這(は)った50がらみの初老の男は、土下座になおっても、まだ泣き続けている。 男のそばには革の書類鞄(かばん)と、12,800円のラベルのついた…

この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる読みきりフィクション

『この街はおまえなんか待たない〜「新宿二丁目」をめぐる読みきりフィクション』(全10篇)連載開始!! ■『この街はおまえなんか待たない』――同性愛者の繁華街のいわゆるダークサイドをちらりと垣間見せる10篇の連作ショートストーリーが、1999年〜2000年の…